弁政連ニュース

インタビュー 鈴木馨祐法務大臣に聞く

鈴木馨祐法務大臣に聞く

国民に親しまれ、アクセス
しやすい司法制度に


法務大臣室にて


ご就任おめでとうございます。就任から3か月が経ちましたが、法務大臣としての意気込みをお聞かせいただけますでしょうか。

法務行政は、刑事民事いずれの側面においても、社会秩序の根幹をなすものであるという印象を日々強くしております。現場の職員の方々とお話をさせていただいておりますが、皆さんプロフェッショナルですので、色々な知見を得る機会となっています。その中で、これからの法務行政がどうあるべきか、日夜話し合いながら検討を進めていきたいと考えています。

重点的に取り組んでいきたいと考えておられる課題は何でしょうか?

石破総理からは、法務大臣就任にあたり、法務行政の課題ということで、5点のご指示をいただいております。

その中でも喫緊で取り組んでいかなければならないと考えているものとして、まず「国民に身近で頼りがいのある司法の実現に向けた取組の推進」という点について、どう国民の皆様に親しまれ、アクセスしやすい司法制度にしていくか。能登半島地震を例にとっても、色々な困り事、ニーズが存在する。ニーズをすくいあげ、アクセスしやすい司法制度をしっかりと構築していかなければなりません。

また、「再犯防止や社会復帰支援等」の点についても、改正刑法に基づき、今年の6月1日から拘禁刑が実施されます。我が国では再犯率が5割強と高止まりしています。新しい法制度によって、矯正の世界も変わる。再犯率を抑え、社会不安解消のため、制度をどう進めていくか。現在多くの方々とお話をさせていただいているところです。

次に、「外国人材の受入れ、在留管理等」の点についてですが、外国人問題はあらゆる国家にとって重い課題です。我が国が、海外に向けて開かれた、選ばれる国であるべきであるということについては確信を持っています。一方で、闇雲に門戸を開いて摩擦が生じれば、国民の間に外国の方々に対する忌避観も広がってしまう。社会の摩擦に目配りし、ペースを考えた体制作りを進めていくと同時に、違法不法な行為には厳粛に取り組んでいきたいと考えています。

育成就労についても仕組みが変わります。雇用関係を主体とする考え方から、社会の一員としてお互いの困りごとを解決していく方向へ議論を進めていきます。地方からも国が大きな方向性を示してほしいと要望されており、自治体の経験の蓄積も参考に、外国人家族の帯同等、学校やコミュニティの受入れ、摩擦問題も含め、現場整備に取り組んでいるところです。

「差別や虐待のない社会の実現、きめ細やかな人権救済」という点でも、様々な論点がありますが、法令できちんとやるところ、運用できちんとやるところ、細部では結果が大事だと思います。混乱を避けながら基盤を整備する。スピード感も持ちつつ、色々な議論を重ね整備を進めていかなければならないと考えています。

「我が国の領土・領海・領空の警戒監視等」の点についても、安保対応、治安維持のいずれも大変重要な問題です。これらもおろそかにできない問題であると考えております。

弁護士や弁護士会へメッセージをお願いします。

法の支配の中で、国民の方々の様々な困りごとについて、法曹の方々はしっかりと社会と法秩序の調和に尽力していただいていると考えており、大きな役割を担っていただいております。

能登半島地震では、誰しもが法的マターに直面しています。一方で法的専門家の数は限られています。弁護士の方々が現場に入って貢献していただいていることは、被災者の方々から感謝されております。

これからも法テラス等を通じ、よりよい法制度の整備に向けて協力を図っていければと考えております。

於法務大臣室鈴木馨祐法務大臣を囲んで。左から 齋藤和紀幹事長、木村良二神奈川支部長、小川晃司(編集長=聞き手)、小林元治理事長、伊井和彦(広報委員長)

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