弁政連ニュース
〈座談会〉
選択的夫婦別姓制度の導入を!(1/6)
大山 みこ 氏
経団連 ソーシャル・コミュニケーション本部統括主幹
井田 奈穂 氏
一般社団法人あすには代表理事
野口 敏彦 氏
第三次夫婦別姓訴訟弁護団札幌事務局長
東京弁護士会
佐藤 倫子 氏
日弁連選択的夫婦別姓制度に関するWG事務局長
香川県弁護士会
本多 広高 氏
司会
日弁連両性の平等に関する委員会委員長
東京弁護士会
法制審から四半世紀
【本多】選択的夫婦別姓に関する法制審での議論等について、第二次訴訟で事務局長を務められた野口さんお願いできますか。
【野口】1991年から、法制審議会民法部会で、婚姻制度等の見直し審議が行われ、1996年2月に法律案の要綱も答申されました。答申を受け、法務省が1996年と2010年に民法改正法案を準備しましたが、いずれも残念ながら保守派議員の反対により国会提出に至っていません。
「選択的夫婦別姓」でも戸籍はなくならない
【本多】その法案の内容を教えてください。子どもの氏はどうなるのか、戸籍がなくなるのではないか、といった疑問の声もあります。
【野口】法務省案では、婚姻時に子の氏を決めることになっています。野党案や公明党案では、子の氏は、子の出生時に父母の協議で決定するということになっています。戸籍は勿論なくなりません。メインの民法750条については、どちらも「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称する」という文言になります。
別姓訴訟のこれまで
【本多】別姓訴訟のこれまでについて教えてください。
【野口】1次訴訟が2011年2 月に提起され、2015年12月16日に最高裁大法廷判決が下されました。合憲意見10人、違憲意見5人で、女性判事3人全員と2人の弁護士出身男性判事が違憲の意見を述べました。当時の日本の司法の状況を象徴的に表していたと思います。
ただ、規範部分では、憲法24条2項論の中で「立法裁量に限界がある」と明示しており、とても意味がある判決だったと思います。しかし、その規範と当てはめが合っていない。「旧姓の通称使用で一定程度不利益は緩和されるので立法裁量の限界を超えるものではない」という、全く中身のないものになっていました。通称使用には限界があると強く主張していましたが、最高裁には理解してもらえませんでした。
2次訴訟は、2018年3月に提起しました。1次判決の当てはめの粗雑さ、通称使用の限界について徹底的に論じましたが、2021年から2022年にかけて、2015年大法廷判決の判断を変更すべきとは認められないとして退けられました。ただ、合憲の補足意見でも「事情の変化によって立法裁量の範囲を超えて憲法24条に違反するに至ることもありうる」と明示的に述べられていて、現在日弁連や経済団体、市民の皆さんの動きによって、日々刻々と事情の変化が生じているので、今年3月8日に提訴した第3次訴訟では、これまでとは異なる判断が出ると思っています。
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