弁政連ニュース
〈座談会〉
今こそ再審法の改正を!(1/6)
柴山 昌彦 氏
衆議院議員
「えん罪被害者のための再審法改正を
早期に実現する議員連盟」会長
村山 浩昭 氏
2014年に袴田事件再審開始決定を出した
元静岡地方裁判所裁判官
東京弁護士会会員
鴨志田 祐美 氏
日弁連再審法改正実現本部本部長代行
京都弁護士会会員
秀嶋 ゆかり 氏
司会
日弁連再審法改正実現本部副本部長
札幌弁護士会会員
超党派議連の設立と活動
【秀嶋】本年3月11日に超党派の国会議員による「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟」が設立され、以来、精力的に活動を展開されています。会長の柴山議員からお話しいただけますか。
【柴山】私は、当選以降、弁護士出身ということもあって、しばらく法務委員会に所属をしておりまして、特に刑事訴訟法の改正による可視化の問題に与党理事として関わってきました。そして、今回、袴田事件などを機に、一般の報道でもこのえん罪が究極の人権侵害になるという大きな問題意識を多くの議員の皆さまに共有していただき、全ての政党の党首クラスが顧問にご就任をいただく中で、議連設立後1カ月余りで、既に国会議員253名が会員になっていただいている。これは、超党派の議連にあっては、極めて珍しいことだと思っておりまして、それだけ議員の皆さんもこの問題に大きな関心を寄せているということの表れだと思います。
【秀嶋】議連総会に参加された鴨志田さんは、どのような感想をお持ちでしょうか。
【鴨志田】再審法改正に向けた活動を今年で10年やっていまして、当初は、なかなか声を上げても届かないというもどかしさを持っていたのですが、議連の入会議員が、設立時の134から、1カ月ちょっとで250を超えるという、この数字だけでも、本当に感無量というか、ようやくここまで来たかという感じです。ただ、まだまだ越えなければならない高いハードル、壁があるということも認識しています。
そういう中で、議連総会に出席させていただいて思うのは、議員の皆さま方がものすごく勉強して、再審について知識を持って、率直な疑問をぶつけてくる姿勢が、回を重ねるごとに鮮明になっているということです。その一方で、法務省や最高裁の回答が、法改正に極めて消極的な立ち位置に終始していることとの落差がだんだん大きくなってきて、やはりこれは政治主導でやらなければならないんだという意識を、議員の方々が強く認識されるに至っているのをひしひしと感じているところです。
【秀嶋】村山さんは3月11日の議連設立総会で記念講演をされていますが、どのような点を強調してお話をされたのでしょうか。
【村山】お集まりいただいた国会議員の方々に、大きく言って3点お話をさせていただきました。一つは、再審事件の現状、袴田事件を例に取って、いかに再審請求する側にとって過酷な状況なのか、どうして再審開始にこれほど時間がかかるのかということ。これは、袴田事件だけではなくて、真摯にえん罪だと訴えている再審請求人は、すべからくこういう状況なのですね。要するに、個別事情じゃなくて、再審請求事件が類型的にそういう状況になっているということをお話ししました。
2番目は、その原因がどこにあるのか。結局、法律で再審請求人が請求しやすく、それが認容されやすいような規定になっていないのです。証拠開示に関する規定がなく、現在の運用では極めて不十分です。また、長くかかる理由として、手続規定、特に期日の問題などについてお話をさせていただきました。さらには、検察官の抗告によって再審開始が妨げられているともお話ししました。
3番目は、対策としては、法律を変えるしかないという結論に行き着くということです。最大の人権侵害と思われる誤判・えん罪、これを解消するためには、法律の改正がぜひとも必要であり、かつ、時代的に、先送りできない課題であるということを力説させていただきました。私が袴田事件を担当し、その後の経過を見る中でそういう思いを強くしましたし、また、ほかの事件や各国の法制度を勉強する中で強く感じたことを国会議員の先生方にもぜひともお考えいただきたいと思ったのです。
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