弁政連ニュース
古川禎久法務大臣に聞く
法務行政は国家の
背骨
法務大臣室にて
就任おめでとうございます。就任から3か月あまりが経ちましたが、法務大臣としての意気込みをお聞かせいただけますでしょうか。
法務行政は、例えるならば、国家を支える背骨と言えます。社会を支える縁の下の存在が法務行政であり、その重要性を改めて感じているところです。地味な役回りであるからこそ、逆に、悪い意味で派手に関心を集めることがないよう、着実に職務に邁進していきたいと考えています。
法務大臣として、重点的に取り組んでいきたいとお考えになっている課題は何でしょうか?
人類社会は、人の尊厳がより重視される方向へ一歩ずつ進んできたと考えています。自由、基本的人権の尊重、法の支配は、人の尊厳を守るための重要なアプローチの一つです。人がお互いに尊重し、認め合い、助け合う共生社会の実現こそが人類のめざす目標であり、それを法務行政に当てはめたとき、様々な課題が考えられます。
例えば、身近で頼りがいのある司法の実現は、引き続き達成しなければならない課題です。その一助としてのデジタル技術の活用は、近時ますます重要性を増しており、現在法制審で議論が行われていますが、しっかりと形にしていきたいと考えています。
また、我が国は高齢化社会に突き進んでおり、新型コロナウィルスも猛威を振るっています。社会における法的トラブルはますます複雑化・深刻化していますが、依然として法的手続は敷居が高いと見られています。法的トラブルの解決に向けて、法テラスによる支援はさらに必要性を増しており、国民が利用しやすい制度を充実していかなければなりません。離島など法的サービスの届きにくいところへの展開も更に充実させ、法の支配の恩恵が広く平等に受けられるようにしていかなければならないと考えています。
外国人の方々との共生も重要な課題です。外国人に対する偏見差別に対して人権擁護のアプローチをもって取り組んでいかなければなりません。
入管行政について様々な御意見がありますが、長期収容や送還拒否などの問題は、しっかり解消していかなければなりません。忘れてはならないのは、わが国への在留については、ルールにのっとって受け入れ、違反には厳正に対処していくという視点です。現実と制度がうまくかみ合っていない部分については、制度の改正にしっかり取り組んでいきたいと考えております。
法務行政の諸課題に取り組むに当たっては、人権尊重の大局観、理想を忘れてはいけないと考えています。
最後に弁護士や弁護士会へメッセージをお願いします
我々法務行政に携わる者も、弁護士の方々も、基本的人権の尊重、社会正義、法の支配という同じ理想、理念を抱いていることは変わりません。
今日の社会では、「子どもを叱る年長者」が減り、また、スマートフォンの画面を通じてしか人と接点を持たないなど、人としての成長が危ぶまれるのではないかと感じることがあります。社会生活の基盤となる大きな価値観を身につけることが大事だと思います。
本年4月には、民法の成年年齢が引き下げられます。新しい社会人を迎え入れていく上で、法教育はとても大事であり、そのために使われる予算は、規模としては大きくはないかもしれませんが、生きたお金の使い方だと思います。弁護士会および弁護士の方々には、同じ理想、理念を持つ同志として、良い時代を子や孫に引き継いでいけるようご協力をお願いできればと思っています。
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