弁政連ニュース
〈座談会〉
被災地の声を国会に
~弁護士による政策提言~(2/6)
~弁護士による政策提言~
(2/6)
【亀山】平成23年5月の初旬の釜石市での無料法律相談がきっかけです。2件相談を受けました。一つは同居していた弟が津波で亡くなったのに災害弔慰金の支給対象外と市から言われたというものと、もう一件は弟と二人暮らしで弟が亡くなったのに災害弔慰金や義援金が受け取れないというものでした。
最初の人が60代の男性で二人目が40代の男性ですね。当時、法律では、受け取れる人は配偶者、子、父母、孫、祖父母という順番で、兄弟姉妹は災害弔慰金を受け取れないという状態になっていました。
岩手県は当時災害弔慰金の支給基準に従って義援金も支給していましたので、兄弟姉妹は義援金も受け取れないことになっていたのです。40代の男性はご両親が先に亡くなって兄弟二人暮らしで唯一の同居の家族を失ったのに災害弔慰金も義援金も受給できない、家族として扱われないのはおかしいんじゃないかと非常に怒ってらっしゃいました。それで話を聞いて「法律によると兄弟姉妹には支給できないことになっている」という説明をしまして、「でもそれはおかしいと思うので、私の方でも何とかできないかやってみます」ということで帰って災害弁護士メーリングリストに投稿したという経緯ですね。
「兄弟姉妹に災害弔慰金や義援金が支給されないのはおかしいから日弁連や弁護士会の方から政策提言してほしい」というメールで投稿をしたんですけど、これを見た大阪の阪口徳雄先生が阪神淡路大震災で同じような経験をして未解決になっていたので一緒に活動しないかという提案をいただき、全国の弁護士から賛同者を集めて政府や被災地の自治体に対して法改正を求める要請書を提出しようという流れになったんです。
阪口先生のプッシュがあったおかげで法改正につながったと思うんですけど、「大阪にいる私が言っても意味がない。被災地の弁護士が声を上げなければ意味がない。」とおっしゃってくれて、その通りだと思いました。そこで災害弁護士メーリングリストにメールを流し、最終的には私を含めて416名の弁護士が要請に賛同してもらえたので岩手県に提出しました。その結果、まず岩手県は6月中旬に義援金の配分範囲拡大をしてくれました。
もう一つが6月16日に厚生労働省を訪れ、「災害弔慰金支給法を改正して兄弟姉妹も支給対象者とするべきだ」という内閣総理大臣宛の要請書を提出しました。これは新聞やテレビなどでも全国的に報道してもらえました。それ以外にも日弁連や岩手弁護士会、兵庫県弁護士会などが要請書を提出、政策提言を行うことにより7月25日に法律が改正されて、同居または同一生計の兄弟姉妹にも災害弔慰金が支給されるようになりました。
【岡本】法改正にあたっての手順なのですが、厚労省に行って、それだけで変わったわけではないですよね。
【亀山】私がやったのは厚労省に行ったことなんですけど、議員さんへの声掛けは日弁連の方がやってくださったんだと思います。
【岡本】法改正にあたっては現場から声を上げていただくのも一つの立法事実であり政策実現の材料になったわけですが、それに加え、弁護士会や日弁連が議員まわりをしていただいて、議員立法で何とか法案が成立したという流れがありましたね。
次に、小口先生から相続放棄の期間の延長について活動の説明をお願いしたいと思います。

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