弁政連ニュース
〈座談会〉
SDGsにおける「気候危機」の現状と課題(1/6)
司会 古平 江都子 広報副委員長

小西 雅子 氏
WWFジャパン専門ディレクター(環境・エネルギー)
昭和女子大学特命教授・京都大学大学院特任教授

小島 延夫 氏
日本弁護士連合会公害対策・環境保全委員会委員
筑波大学法科大学院・駒澤大学法科大学院
非常勤講師(環境法)

古平 江都子
司会
広報副委員長
気候変動対策の緊急性
【古平】日弁連では、2021年10月15日付けで、気候危機は重大な人権問題であると捉え、日本を含めて世界ができることは何かという観点から、気候危機を回避して持続可能な社会の実現を目指すための宣言を出しております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
【小島】小西さんをご紹介します。現在WWFは気候変動の問題を大きな課題として捉え様々なキャンペーンを行っていますが、小西さんはその中心的メンバーとしてこの問題に取り組んでおられます。企業の動向などにも詳しく今日はその辺の話も含めて、お話をしていただこうと考えております、よろしくお願いします。
【小西】WWFジャパンの小西と申します。気候変動枠組条約に関わって、COP参加は今回で18回目になります。元々気象予報士なので天気から入っており気候科学、国際関係論の中での政策面、あとは特にエネルギーと脱炭素の政策国内外を担当しております。よろしくお願いいたします。
【古平】まず初めに今日気候変動に取り組むことがそもそも何故必要になっているのかという一番の根っこのところからお話を伺わせてください。
【小西】既に過去130年で地球の平均気温は1℃以上上がっております。IPCCと言われる国連の科学の最高峰の報告書がこれまでに1990年から6回出されていますが、直近のものではこの気温上昇は人間活動によるものであると科学的にほぼ断定されております。産業革命以降人間が化石燃料を使うことによって二酸化炭素が出され、平均気温が上がったということです。このままでいくと今世紀末に4℃ぐらい上昇してしまう。過去1℃上がっている状況で、日本での台風の強大化、海面上昇で小さな島国とかが水没してしまう、氷河が溶けてその下の氷河湖が広がり、今回のパキスタンの大洪水を非常に深刻化させるといった既に破壊的な影響が出ております。このままでいくと2030年ぐらいには1.5℃に上がると予測されていますので、さらに影響は深刻化して参ります。ですので、今私達に残されている道は、今後の気温上昇をどのレベルで止めるかという選択肢になります。このまま新しい政策をとらないと本当に地球環境と人類の共存ができにくいレベルになってしまうので、なんとか気温上昇を今は1. 5℃に抑えようということが世界のコンセンサスになっております。ただ、パリ協定は元々長期目標が2 ℃未満に抑えるということだったのですけれども、2℃でも事実上破壊的な影響が生じてしまうので、2021年のCOP26イギリスグラスゴーで、1.5℃にしようということで1.5℃への強化目標が決まりました。この状況で今回のCOP27を迎えました。
【小島】1.5℃目標を何とか達成するためには一体どうしたらいいのでしょうか?

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