弁政連ニュース

政策秘書は、弁護士から!(1/2)

政策担当秘書とは

政策担当秘書(以下「政策秘書」という。)制度は、国会議員の政策活動を直接補佐する秘書を設けて、国会議員の政策立案・立法調査機能を高めるために創設された制度です。

公設第一秘書、第二秘書と共に公設の国会議員秘書(特別職の国家公務員)とされます。

政策秘書となるためには、「政策担当秘書資格」の試験合格者又は選考採用審査認定者である必要があるところ、弁護士(司法試験合格者)は、公認会計士試験合格者や旧国家公務員Ⅰ種試験合格者等と共に、「選考採用審査認定」を受ければ政策担当秘書資格が付与される扱いとなっています(司法試験合格者は口述及び書類審査で認定されることができます)。

ただ、ひとくちに政策秘書といっても、その業務内容は多岐にわたります。

そこで今回、自身もかつて衆議院議員政策担当秘書を務めていた筆者(日本弁護士政治連盟広報委員会副委員長・安藤圭輔)が、現役弁護士政策秘書及び政策秘書経験弁護士にインタビューを行い、弁護士が政策秘書となることの意義、弁護士が政策秘書となることの魅力等について語っていただきました。

現役弁護士政策秘書が語る

今井時右衛門氏(衆議院議員宮崎政久事務所・65期)、小山紘一氏(参議院議員山田太郎事務所・66期)にお話を伺いました。

―まず自己紹介をお願いします。

【今井】2012年に弁護士登録をした年に、日弁連の政策秘書説明会で履歴書を提出したところ、山下貴司議員(自民・衆)の事務所からお声掛けいただき、2013年から2015年までの間、政策担当秘書を務めさせていただきました。その後一旦法律事務所に勤務していたところ、2018年に、宮崎政久議員(自民・衆)からお声掛けをいただき、現在まで政策担当秘書を務めています。両議員ともに弁護士登録をしていることから私の弁護士活動にも理解があり、弁護士と政策担当秘書と、二足のわらじを履いています。

【小山】私は2013年の一斉登録のときから政策担当秘書予定者として国会議員事務所に入り、 議員秘書としての仕事は10年目に入りました。私は2013年から松田公太議員(旧みんな・参)事務所に入り、2014年の6月に政策担当秘書の資格を得て、7月1日から政策担当秘書として正式に仕事が始まりました。その後、みんなの党が消滅した後、松田議員は自ら日本を元気にする会という新政党を立ち上げまして、新政党の立ち上げに色々関わったのが非常に良い思い出です。

その後、山口和之議員(維・参)事務所を経て、2019年7月にいよいよ本格的に弁護士として頑張ろうかなと思ったんです。そこに、旧みんなの党の議員であった山田太郎参議院議員(現自民・参)から「与党の立場になり、しっかりと政策をやりたいから、政策担当秘書として来てくれ」「政府と一緒にいろいろな政策を実現していきたいんで、法律事務はほとんどできないことを覚悟してきてくれ」と言われたんです。これまで私は野党しか経験してこなかったので、一度は与党議員事務所で仕事をしてみたいという思いがあり、妻や法律事務所のメンバーに事前相談のうえ、山田事務所に入りました。

-政策秘書としての業務内容を教えてください。

【今井】議員の選挙区が小選挙区のため、いわゆる政策だけではなく、秘書業務全般をしています。選挙区から地方議員や支援者が上京した際の応接、国会見学対応、政治資金パーティーの開催から、選挙区での会合参加など、幅広い業務を行っています。勿論選挙となれば地元に張り付きます。

【小山】私はむしろ、これまでの秘書生活は支援者対応や選挙対策はほとんどなく、政策に係る業務がメインでした。野党議員時代は国会質問がメインの仕事。現在の自民党では、法律の策定に党側から携わっています。最近ですと、山田議員が著作権関係の党責任者となったことから、著作権法改正について、文化庁の著作権課課長や課長補佐と、自民党の審議で物言いなどがつかないよう、そしてその後の国会審議で野党にも賛同していただけるように、概要から具体的な条文の文言に至るまで、法案について何度も打ち合わせました。

選挙について、山田議員はネット選挙を駆使したことで知られています。参議院の全国比例ということもあり、衆議院、かつ小選挙区の秘書である今井さんとは少し違う感じですね。ネットでの情報発信がどのように投票行動に結びつくのかを研究しています。

-弁護士を政策秘書とする意義とは?

【今井】立法活動が最も、私達弁護士の知識・経験が活かせると思っております。例えば議員立法を作る際、役所や法制局、団体との間で、議員の指示の下、条文の中身を詰めていくということをします。ここで弁護士としての知識経験が活かせると思います。

【小山】今井さんのおっしゃるとおり立法や政策立案に対し、私達弁護士はとても役立てると思います。加えて野党時代に思っていたところとしては、行政監視というのが国会議員として非常に大事だと。我々は弁護士として法律をある程度網羅的に幅広く知っていて、政策の部分も判断できます。そういう秘書は、行政監視に非常に重要な役割を果たすと思っています。

-弁護士が政策秘書を経験することの魅力とは?

【今井】弁護士と政策担当秘書とは、時間の間隔が全然違います。弁護士だと次回期日が決まって、それまでに準備してと、計画的に業務を進められますが、政策秘書は本当にその日暮らしというか、今日のことも今日分からないというようなことがあります。そういった中で業務を調整していくっていうのはとても難しいんですが、こうした調整能力を涵養できるのは政策秘書ならではと思います。

また秘書は、人と会うのが仕事という側面もあります。中々お会いすることが難しいような立場の方と話す機会も持てます。このように色々な方とお会いし、ネットワークが広がって、できる仕事が増えていく。こうした経験は、弁護士として仕事をする際も役立つのではないでしょうか。

【小山】今井さんのおっしゃるとおり、弁護士で得難い経験はとても多いと思います。

そして弁護士として法律を使うだけでなく、議員立法などで法律を作る側の仕事にも携われるということは、とても魅力的だと思います。

ぜひ、若い弁護士の皆さんには政策秘書を志して欲しいと思いますね。

-ありがとうございました。



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