弁政連ニュース

特集〈座談会〉

LGBT
―今こそ性別平等の立法課題の解決を(2/6)

性的指向と性自認

【本多】まず遠藤さんから、人の性自認の多様性について説明をお願いします。

【遠藤】「性自認」というのは自分が所属する性別に関する認識のことです。「性自認」は、よく自分が口先で言っている性別と混同されることがありますが、そうではなくて、本人の内面の重大なアイデンティティに関する言葉です。英語にするとジェンダー・アイデンティティで、「性同一性」と同じ意味です。

出生時に割り当てられた性別とは異なる性自認を持つ人を「トランスジェンダー」と言います。その逆で出生時に割り当てられた性別と性自認が一致する人を「シスジェンダー」と言います。

トランスジェンダーの中には、出生時に割り当てられた性別が男性で性自認が女性の「トランス女性」、出生時に割り当てられた性別が女性で性自認が男性の「トランス男性」、さらに、男女いずれか一方には当てはまらない性自認の方(ノンバイナリー)がいます。

【本多】須田さんから人の性的指向の多様性について説明をお願いします。

【須田】「性的指向」というのは性的関心や恋愛感情がどこに向いているのかあるいは向かないのかという問題です。性的指向が同性に向く人が「同性愛者」。性的指向が異性に向く人は「異性愛者」です。また、性的指向が向かない人は「アセクシャル(無性愛)」と言われます。

性的指向は、シスジェンダーについてだけ問題になるわけではありません。トランス女性が女性を好きなときには、戸籍上は男女の組合せになりますが、性自認を基準に考えるので、同性愛者ということになります。こういう複雑な問題があるので、同性婚というのは、トランスジェンダーを含めた性自認についても考えていかなければならない問題ということになります。

政治に取り上げられるようになってきたLGBTの権利

【本多】この10年間にLGBTの権利の問題が政治において取り上げられるようになってきたと感じております。とりわけ2015年に渋谷区がパートナーシップ証明の条例を制定して、世田谷区がパートナーシップ宣誓を要綱によって導入してから、メディアの報道も増えました。皆様と政治との関わりについてお聞かせください。

【遠藤】私は2012年に改定された自殺総合対策大綱に、性的マイノリティを一つのハイリスク層として織り込む政策提言に関わりました。国内調査でも、ゲイやバイセクシュアルの男性は自傷行為や自殺未遂が多いとか、岡山大学の職場で性同一性障害の診断を求めて受診した人たちのメンタルヘルスの状態が悪いという結果が出ていましたので、それを反映したものにして欲しいと要望をして、それが盛り込まれました。これがきっかけで、文科省が教職員向けのリーフレットを出すことに繋がりました。

【須田】私は、札幌市がパートナーシップ制度を作る時に、LGBTの当事者団体と一緒に働きかけをしてきました。

【内藤】私は、労働法領域で差別やハラスメントの調査研究をしてきましたが、その中で性的指向・性自認に関するハラスメントがとても多いという実態がわかりました。それは、厚労省の補助金事業「よりそいホットライン」のセクシュアルマイノリティの専門ラインの調査をした時にも感じました。ホットラインでは相談が多いのに、訴訟は少なくて、LGBTの問題が潜在化していることも問題だと思いました。

ちょうど国がパワハラ防止の法制度を作ることになって、このパワハラの中に性的指向・性自認に関するハラスメント(以下「SOGIハラ」)も含めて事業主が対策を講じなければならないと制度化するところに関わりました。具体的には、国会で参考人として意見を述べたりしました。



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