弁政連ニュース

クローズアップ〈座談会〉

依頼者・弁護士間の通信秘密保護制度の確立を(1/4)

司会出井 直樹 前日本弁護士連合会事務総長
山本 晋平 氏

山本 晋平
日弁連
依頼者と弁護士の通信秘密保護制度の
確立に関するWG事務局長
第二東京弁護士会会員

佐成 実 氏

佐成 実
仲裁ADR法学会会員
第二東京弁護士会会員

下平 高志 氏

下平 高志
企業法務部勤務
米国ニューヨーク州弁護士

出井 直樹 氏

出井 直樹
司会
前日本弁護士連合会事務総長

【出井】本座談会の司会を務めます出井直樹と申します。2016年4月から2018年3月まで日本弁護士連合会の事務総長を務めておりました。現在は日弁連の「弁護士と依頼者の通信秘密保護制度確立ワーキンググループ」の副座長を務めております。2018年来、独禁法改正をめぐって依頼者と弁護士の間の通信秘密保護制度、いわゆる依頼者弁護士秘匿特権(attorney-client privilege)に関する議論が起こっています。日本弁護士連合会は課徴金減免制度の見直しが企図されている今回の独禁法改正に合わせて、長年の課題であった依頼者・弁護士通信秘密保護制度の確立を主張しております。本日は、このような状況を背景にして依頼者・弁護士通信秘密保護制度とは何なのか、どういうところに問題があるのか、日弁連や経済界の取組はどのようなものか、などを議論いただきたいと思います。それぞれ簡単に自己紹介をお願いします。

【佐成】二十数年前に企業内弁護士になり、外資系企業の方から依頼者・弁護士通信秘密保護制度について聞き、当時私はピンとこなかったのですけど、それ以来関心をもっています。本日は所属する組織には関係のない私見を述べることをお断りします。

【下平】下平と申します。私はメーカーの法務部で契約審査や紛争解決など各種の案件を担当してきました。依頼者・弁護士通信秘密保護制度とのかかわりという意味では、2000年にアメリカのロースクールに留学させてもらい、ニューヨーク州の弁護士の資格を取得し、その後当社の独禁法に関するアメリカでの調査ですとか、あと独禁法ではないのですけど、契約に関してのアメリカでの訴訟等を担当し、証拠書類の提出や証人の証言をとる中で実務上秘匿特権がどう取り扱われるのかを現場で見てまいりました。なお、以下の私の発言もすべて私見であり、勤務先・所属機関の見解を述べるものではありません。

【山本】弁護士の山本でございます。日弁連の「弁護士と依頼者の通信秘密保護制度確立ワーキンググループ」の事務局長としてこの問題にかかわっております。また、業務として、とくに国際的な側面がある企業法務を中心に手がけております。



▲このページのトップへ