弁政連ニュース

〈座談会〉

地方創生の柱に司法基盤の拡充を
-地方・地域の実践で政府を動かす-

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司会 斎藤 義房 本部副理事長兼広報委員長

北川 正恭 氏

北川 正恭
早稲田大学マニフェスト研究所顧問・
元三重県知事

泉 房穂 氏

泉 房穂
明石市長

藤田 善六 氏

藤田 善六
関東弁護士会連合会 理事長

石曾根 清晃 氏

石曾根 清晃
長野県弁護士会会員

斎藤 義房 氏【斎藤】昨年11月「まち・ひと・しごと創生法」が成立しました。人口の東京圏への一極集中を是正するためには、①豊かな生活を安心して営める地域社会をつくる、②地域社会を担う多様な人材を確保する、③地域における多様な就業を創出する、この三つを一体として推進することを目的としています。それぞれの地域で、生活の安全と事業の安定が確保される環境を整備するためには、市民の悩みごとや企業紛争を身近で迅速に解決してくれる民事司法制度を整備することが不可欠です。そして、市民の司法アクセスを拡充するためには司法の利用者が地域から声を上げ、具体的な制度の実現を提言することが重要であると考えます。そこで、本日は各団体のリーダー三名、及び政策立案の研究者である元三重県知事にもご出席いただき、実践のご報告と展望を語って頂きたいと思います。

まず自己紹介と取り組んでいる課題について、お話し下さい。

【泉】明石市長の泉です。弁護士で、社会福祉士でもあります。

明石市では専門職の採用を積極的に進めており、弁護士についても、現在7名が市役所の職員として働いています。地方自治体の良さを二つ挙げると、一つは市民にとって身近であること、そしてもう一つは市民に幅広い支援が可能であることです。弁護士を自治体の内部に位置付けることによって、市民の法的なニーズに対しても、自治体としてしっかりと応えていきたいと思っています。

【石曾根】長野県松本で弁護士事務所を開いておりますが、現在裁判所支部でぜひ労働審判を開設したいという運動をやっておりまして、それについて市民と連携しながら長野県下の自治体で賛同の意見を頂いたところです。そこから一歩踏み込んで、支部で労働審判ができないのは司法予算が足りないからだ。それを増やすためには何をすればよいのか、という、活動を行っています。

【藤田】藤田です。所属は新潟県弁護士会です。現在、関東弁護士会連合会の理事長をしております。

関弁連管内の地域司法の充実を最重要の課題の一つにしています。

【北川】私は国会議員ほか知事を経験し、現在は内閣府の地方公共サービス委員会の委員長を引き受けています。公権力の行使を民に開放しろと運動をしておりまして、地方自治体の公金回収業務について弁護士に専門職としての機能を発揮していただきたいということと、いわゆる法の支配を普遍的に広め、地域が自立して自己決定、自己責任にのっとる法の基盤を作らないと本当の地方創生ができないのではないかと考えております。


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