弁政連ニュース

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東日本大震災における日弁連の被災者
支援活動の取組み

本年3月11日に、国内観測史上最大のマグニチュード9.0の巨大地震が発生し、東北地方太平洋沿岸部を中心に未曾有の被害をもたらしました。死者は1万5,000人を超え、東京電力福島第一、第二原子力発電所事故による被害者を含め、8万人以上の避難者が、今もなお厳しい環境での生活を余儀なくされています(数字は9月6日現在のもの)。

日本弁護士連合会は、これら東日本大震災の被災者支援のため、地震発生当日に、東日本大震災・原子力発電所事故等対策本部を設置し、各弁護士会や関係機関と連携しながら、法律相談等の様々な取組みを行ってきました。紙面の都合上、ここではその一部を紹介しますので、詳細については、当連合会ホームページ等を御覧ください。

●政策・立法提言

被災者支援のための施策のほか、いわゆる二重ローン問題及び原子力発電所事故等の対応について、適宜、意見書等の政策・立法提言を行い、必要に応じ、関係省庁に対しその実現を要望しています。

●東日本大震災電話法律相談

(主催:日本弁護士連合会、日本司法支援センター、東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会)
2011年3月23日から実施している東日本大震災電話法律相談では、117日間で4,135件の相談が寄せられており(9月8日現在)、日別及び内容分類別の相談件数を公表しています。

●外国人のための東日本大震災電話相談

(主催:日本弁護士連合会、関東弁護士会連合会、東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会)
東京外国語大学多言語・多文化教育研究センターの協力を得て、国内在住の外国人からの相談に対応しています。

●中小企業者向け相談窓口「ひまわりほっとダイヤル」

中小事業者向けの常設の相談窓口において、東日本大震災に関連する相談も受け付けています。

●被災女性のための東日本大震災電話法律相談

(主催:日本弁護士連合会NPO 法人全国女性シェルターネット)
DV・性暴力・解雇や雇い止め等の労働問題を含む法律相談について、女性がおもわぬ困難や被害に直面したときに、いつでも、どこからでも、無料でかけられる「パープル・ホットライン」に協力し、東日本大震災の被災女性からの相談も受け付けています。

●宮城県下震災避難所無料法律相談

(主催:日本弁護士連合会、仙台弁護士会、日本司法支援センターほか)
2011年4月29日から5月1日までの3日間で実施した宮城県下震災避難所無料法律相談では、宮城県内の避難所等95箇所にのべ約300人の会員を派遣し、のべ1,153件の相談を受け付けました。

●東日本大震災法律相談情報のデータベース化及び分析作業

東日本大震災・原子力発電所事故等対策本部において、当連合会のほか各弁護士会において実施している法律相談について、その相談情報の集約・分析を行い、2011年6月に第一次、8月に第二次の分析結果を公表しています。当連合会が把握しているだけでも、相談件数の累計は、9月上旬までに2万7,000件を超えています。

●「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」

東日本大震災によって生じた、いわゆる二重ローン問題への対応のため、金融・商工団体、法務・会計の専門家、学識経験者等で組織された個人債務者の私的整理に関するガイドライン研究会が策定した「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」が8月22日から適用開始されています。

ガイドラインに基づく手続は、第三者機関の一般社団法人「個人版私的整理ガイドライン運営委員会」において行われ、当連合会は、債務者の債務整理の申出や弁済計画案の策定等を支援し、また、弁済計画案の確認報告書の作成等を行う「登録専門家」として、既に448名(9月7日現在)の会員を推薦しています。

今後も、ガイドラインに基づく実務に全面的に協力にしつつ、この制度が被災者にとって、より使い勝手の良い制度となるよう、改善を求めていくとともに、今後も残された課題の解決のために、被災債務者が不合理な債務から解放される立法等の制定に向けた活動を継続していく所存です。

●原子力損害賠償紛争解決センター

東京電力福島第一、第二発電所事故によって生じた損害の賠償問題に関し、被害者と東京電力が賠償額等について合意に至らない場合に、無料で和解を仲介する「原子力損害賠償紛争解決センター」が文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会に設置され、9月1日から業務を開始しています。

当連合会は、各弁護士会からの協力を得て、実際に事件の仲介を行う「和解仲介委員」に会員128名を、和解仲介委員を補佐する「調査官」等に会員18名をそれぞれ推薦しています(数字は9月8日現在のもの)。

●原子力損害賠償に関する説明会等の開催

文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会において、東京電力福島第一、第二原子力発電所事故の被害者に対する損害賠償制度の枠組みの検討・整備がなされています。

弁護士会では、損害賠償制度について、主に各都道府県内に避難している被災者の方々を対象に説明会等を開催し、原子力被災者・記録ノートの配布及び記載方法の説明や個別相談等を実施しています。

●東日本大震災の被災者が抱える既存債務からの解放を求める署名活動

仙台弁護士会が中心となり、全国の弁護士会及び会員、市民の皆様の協力を得て、東日本大震災の被災者の抱える住宅ローン、自動車ローン、事業用資産のリース等の既存債務から、速やかに被災者を解放するための立法化を目指し、国会に請願を行うための署名活動を行いました。

2011年7月26日までに、全国から10万7,460筆もの署名が寄せられ、翌7月27日に、衆議院議長及び参議院議長に対し、署名を添えて請願書を提出しました。

(日弁連作成、2011年9月現在)

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