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特集〈座談会〉

公文書管理の現状と課題(1/5)

司会柳楽 久司 弁政連広報副委員長
三宅 弘 氏

三宅 弘
公文書管理委員会委員長代理
第二東京弁護士会会員

森田 明 氏

森田 明
内閣府情報公開・個人情報保護審査会委員
神奈川県弁護士会会員

出口 かおり 氏

出口 かおり
日弁連情報問題対策委員会委員
東京弁護士会会員

柳楽 久司 氏

柳楽 久司
司会
弁政連広報副委員長

はじめに

【柳楽】本日お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。昨年あたりから国会周りで公文書を巡る話題が連日のように取り上げられて、国民の関心も集まっているところですが、今日はこの公文書管理をテーマにお話をいただきたいと思います。はじめに簡単に自己紹介をお願いします。

【出口】私は2011年に弁護士登録したのですが、元々情報公開のテーマで学生時代から勉強していたこともあって、弁護士になってから日弁連の情報問題委員会に加えていただいて、引き続き情報公開制度と、公文書管理の問題に関わっています。

【森田】34期の森田です。私が弁護士になったのは1982年で、ちょうど神奈川県が都道府県で初めて情報公開条例を作った年でした。情報公開が制度化された時期に弁護士になったということもあり、かつそれが地元だったということもあって、このテーマに関わるようになりました。情報公開の請求者側代理人として訴訟や不服申立てをしていたのですけれども、ある時期から自治体の審査会などの不服申立てを審議する第三者機関にも関わるようになって、2011年の10月から3年間、常勤で内閣府の情報公開・個人情報保護審査会の委員を務めました。現在は再び横浜で弁護士をやっています。

【三宅】35期なので森田さんより1 期あとで情報公開運動に関わりましたが、1999年に情報公開法ができて2001年に施行されたときに、国立公文書館に文書が行かないという現象が起きたのです。情報公開法には不開示事由があって各省が自分の判断で文書の開示・不開示をコントロールできるのですが、公文書館に行ってしまうと原則公開ということになるので、却ってそちらに文書が行かなくなったのです。それで2003年に「公文書の適切な管理、保存及び利用に関する懇談会」というものができまして、そこに指名されて委員として加わることとなりました。2009年の公文書管理法の法案審議の際には衆議院の内閣委員会で参考人として「もっと強い法律を作るべきだ」と意見を言いましたが、そういうこともあって2011年から現在まで公文書管理委員会の委員を務めております。

公文書管理の話がなぜ重要なのか

【柳楽】いま、本当に毎日のようにニュース番組だけでなくワイドショーまでも公文書の問題を取り上げている状態なのですが、そもそも前提として公文書の管理がなぜ重要なのかという話を原点に立ち返ってお聞かせいただけますか。

【出口】もともと政府の意思決定は文書主義です。つまり、意思形成過程を含め、文書を起案して組織的な意思決定をしているわけで、その意思決定についてどうしてそういう決定をすることになったのかを市民の目線で検証するときに重要になるのが情報公開の制度です。市民が情報公開を請求したときにきちんと文書が開示されるということが、政府の意思決定を民主的に検証できるということなのですが、ここで元となる文書が作られていないとか、作ったけれども必要ないからと廃棄したとか、市民の知らないところでいい加減な文書管理がされてしまうと、情報公開請求をしても文書が出てこない、つまり意思決定の過程を市民が検証できなくなるという問題が起こります。公文書管理法は、1条で公文書が「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知識資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るもの」と述べていますが、これはまさにこのことを謳っているわけです。さらに4条で「事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう」に「経緯も含めた意思決定に至る過程」をきちんと記録しなければならないと規定しています。

【柳楽】公文書管理法1条は、国や行政機関の諸活動を「現在及び将来の国民に説明する責務」を全うするためなのだということも書いていますね。市民が政府の意思決定を事後的に検証するためには情報公開が重要で、その前提として、公開対象となる文書をきちんと管理する必要があるということで制定されたのが公文書管理法ということですね。

【森田】そうです。情報公開法が制定された頃の当初の関心は「どこまで情報を公開するか」、まり「公開/非公開の線引き」が主たる問題だと思われていたのですが、実際に運用が始まって時間が経つにつれてむしろ問題になってきたのは、公開請求した文書がそもそもないとか、あるいは出してきた情報が違うのではないかとか、そういう文書の特定や不存在の問題が表面化してきました。私が国の審査会にいたときもそういう点を問題とする不服申立てがだんだん増えてきたという傾向があって、そうなってくると文書管理のあり方自体を見直さないと情報公開制度がちゃんと機能しないということが明らかになってきたわけです。



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